ABOUT

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池田 晃将 TERUMASA IKEDA

工藝美術家

1987 千葉県出身

2014 金沢美術工芸大学 工芸科 漆・木工コース卒業

2016 金沢美術工芸大学大学院 修士課程 修了

2019 金沢卯辰山工芸工房 修了

現 在  金沢市内にて独立 

1987 Born in Chiba, Japan

2014 B.A., Kanazawa College of Art, Kanazawa

2016 M.A., Kanazawa College of Art, Kanazawa

2019 Completed Kanazawa Utatsuyama Kogei studio, Kanazawa

Pres-   Established studio in Kanazawa city
 

個展

 

2014 池田 晃将 漆展―極小の装飾―

     Café&gallery Musee 石川

2019 電光装飾-Cyber Effect-池田晃将漆芸展

     日本橋髙島屋S.C 6階美術工芸サロン 東京

2020 池田晃将漆芸展 しぶや黒田陶苑

グループ展など

2014 「Epoch Garden」金沢市問屋町スタジオ 石川

2014 次世代工芸展 招待出品 京都

2015,16,17 池田 晃将 ―漆加飾の小細工展―

     伊勢丹新宿本店5階ウエストパーク東京

2016 「生新の時」輪島漆芸美術館 石川

2017 Asia art contemporary Singapore/Suntec Exhibition Centre SINGAPORE

2017「結晶する漆」—Essence of URUSHI—日本橋三越東京

2018 「なつめ」しぶや黒田陶苑 東京

2018 秋元雄史監修「もう一つの工芸未来派」銀座和光 和光ホール 東京

2018 Art Expo New York /Pier94 U.S.A

2019 第4回「翔ぶ鳥展」銀座一穂堂 東京

2020 特別企画 和巧絶佳展−令和時代の超工芸−パナソニック汐留美術館

Solo Exhibitions

2014 Microscopic Decoration/ Musee,Kanazawa

2019   -Cyber Effect-Terumasa Ikeda Solo show

​           Nihonbashi Takashimaya/Tokyo

2020 Terumasa Ikeda Solo show/Shibuya kuroda                toen

Exhibitions

 

2014 Epoch Garden/ Kanazawa

     Toiyamachi Studio, Kanazawa

2014 The next generation of Kogei/ Kyoto

     Municipal Museum of Art Annex,Kyoto

2015,16,17 Terumasa Ikeda Solo Exhibition

    / Isetan Shinjuku 5F West Park, Tokyo

2016 The Vivid Time

    / Wajima Museum of Urushi Art

2017 Asia art contemporary Singapore/Suntec Exhibition Centre SINGAPORE

2017 [Essence of Urushi]/Nihonbashi Mitsukoshi Tokyo

2018 “Natsume” (Tea container) /Shibuya Kuroda touen,Tokyo

2018 [Art crafting towards the future ANOTHER VOLUME]/Ginza WAKO, Tokyo 

2018  Art Expo NewYork,USA

2019 “4thTobutoriten”/Ginza Ippodo,Tokyo2019 “4thTobutoriten”/Ginza Ippodo,Tokyo

2019 [Bontyu]/Shibuya Kuroda touen,Tokyo

2020[WAKOZEKKA]Contemporary Japanese Crafts/Panasonic Shiodome Art Museum

 「螺鈿 本質としての表層」ー池田晃将

(前略)微細なアラビア数字や集積回路を思わせるラインの交錯が、緑から赤紫、青紫へとタマムシの翅のような光を帯びてその表面に瞬く、黒い立方体―(中略)

 正倉院以来の長い歴史を持つ漆芸の一ジャンル「螺鈿」は、材料は稀少、工程も複雑で、必然的に高額にならざるを得ない。現代でも茶道具や高級食器、家具などが作られているものの、日常生活の中で出番の多い器を中心とする、いわゆる「生活工芸」のように、一般の人が手にする機会は少ない。そんな敷居が高い、感覚が古い、日常から遠いと思われてきた工芸が、現代の私たちに近しいSF的なイメージをまとっている。(中略)

 無垢の暗黒の上に揺らめく光。ホログラムのように立ち上がる、物語の断片たち。ともすれば虚空へ漂い出そうとするイメージを、その際で物象につなぎ留め、「ないのに、ある」存在として成立させる、螺鈿という技法の妙。1ミリにも満たない表層の薄膜であるからこそ、そこに気が遠くなるほどの執念をもって集積された技術と時間、イメージは、見る者の心に抑えがたい感情を掻きたてる。(中略)確かに技法は古典的だ。だが観る者の共有するイメージが時代によって異なるだけ、とも言える。たとえば殿舎や庭園の景の中に、『源氏物語』第二三帖「初音」で明石の上が詠んだ和歌、「年月を松にひかれてふる人にけふ鶯の初音きかせよ」の文字、さらに松と鶯のモチーフを散らした蒔絵として表された、かの《初音の調度》について、当時の誰もが説明されるまでもなく、徳川将軍家の姫の嫁入り道具にふさわしい、と感嘆の溜息を吐いたことと、まったく異なるところはない。その「同じ」さ加減もまた、私たちの遠近の感覚を狂わせ、眩暈を引き起こす。

 光や電気信号を操作するテクノロジーや、これらに触発されたSF的なヴィジョンは、物理的に手で触れることの叶わない、いわば「あるのに、ない」ものだ。それが極限の薄膜ーまさに虚実皮膜の上に、物象としてつなぎ留められている。物質とイメージとが幾重にも重なった層を透かして見える、幻のようなヴィジョンをまとった器体の内は虚。表層こそが本質であり、すべてなのだ。

 

                           公益社団法人永青文庫副館長  橋本麻里

       「かざる日本」岩波書店、2021年、181頁「螺鈿 本質としての表層」より抜粋ー

 

 

 

                      ※著者、出版社より許可を頂き転載しております。無断転載はご遠慮ください。